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フォルケホイスコーレ入門−「知」がさわぐ国で学ぼう。


■フォルケホイスコーレとは?

Folkehø jskole(フォルケホイスコーレ)とは、北欧全土に広がる独特の成人教育機関であり、通常の公教育から独立し影響を受けない私立学校群です。
誤解を恐れずに言えば、日本の私立大学などが主催する「エクステンションセンター」や自治体や民間が主催する「カルチャーセンター」、「市民講座」が、寄宿制の学校になったようなものといえるかもしれません。
エクステンションセンターは大学主催のビジネス、カルチャーセンターは民間企業主催のビジネス、市民講座は自治体主催の市民サービスのイメージがありますが、フォルケホイスコーレは、北欧の歴史と文化を背景に生まれ、しっかりとした教育理念に裏打ちされているものであり、北欧の教育文化としてしっかり根付き、様々な影響力をもっています。
2015年6月現在、フィンランドには約90校、スウェーデンには151校、ノルウェーには78校、デンマークに70校があります。(但しフィンランドのフォルケホイスコーレには残念ながら、現状では原則留学できません)
フォルケホイスコーレはデンマークの教育システムのなかでは、「成人教育」のなかに位置づけられていますが、「学校を超えた学校」と指摘する人もいます。 

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■フォルケホイスコーレの特徴

フォルケホイスコーレの特徴を説明すると次のようになります。
*入学資格:原則として17歳半以上であること(学校によっては18歳)
*入学試験:ありません。在学中も「試験」と名のつくものは基本的にはありません。外国人の場合、学校によっては比較的高いレベルの英語力もしくは現地語の能力が求められます。
*成績表:ありません。
*修了証・卒業証書:原則、ありません。資格もとれません。
*寄宿生活 滞在中は他の生徒と寝起きを共にし、教師も同じ敷地内に住まっていることが多いです。
*学費:授業料、寄宿料、食費(1日3食)、その他を含めて、1カ月10万円〜15万円が目安。(2015年6月現在)
*科目:人文科学系、芸術・デザイン、体育スポーツを中心として、さまざまなことを学ぶことができます。
*学習期間:原則、最大10カ月(12週、16週、20週、24週などのコースがある。国、学校によって異なることもあります)。

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■フォルケホイスコーレとN.F.S.グルンドヴィ

フォルケホイスコーレというコンセプトを提唱したのは デンマーク国民の父と呼ばれるN. F. S.グルンドヴィです。
彼は当時の硬直した暗記中心の教育を批判し、生徒と教師が寝起きをともにしながら(寄宿制)「生きた言葉」で語り合い響き合うような対話を重ねて、自分たちをとりまく世界を学ぼう、と訴えました。そして公教育からは独立した学校の設立を提唱したのです。
そのコンセプトから生まれたのがフォルケホイスコーレでした。いま在るフォルケホイスコーレ各校はそれぞれ独自の主旨で設立されてはいますが、底流にはグルンドヴィのコンセプト「人間同士の対話による相互の人格形成」があります。
カリキュラムも大事なのですが、フォルケホイスコーレで学ぶときに一番重要なことは、そこで出会う人々と対話を繰り返すことなのです。

●グルンドヴィの教育理念
ホイスコーレに対する彼の理念はデンマーク民主主義社会をつくる基礎ともなりました。それまでの学校は、ラテン、フランス、ギリシャ、ドイツなどの外国語や外国文化が重視され、暗記教育が殆どでした。一部の上流階級の人たちだけが高等教育を受けられ、母国語しか話せない農民の文化は低いものとみなされていました。グルンドヴィはそれを強く批判し、抵抗しました。親から子へと代々伝えられてきた母国語と、そこからうまれてきた地域文化こそが尊く、美しいのだと訴えたのです。それは「生きた言葉」による対話と、競争でない共生からなる生活をもとめた教育理念でもありました。
(中村秀峰:婦人の友2000年5月号「北欧のソング・ブック」より)

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■フォルケホイスコーレ留学をすすめる理由

デンマークという国に留学すること、フォルケホイスコーレ留学の良さを、思いつく限り伝えてみることにします。
  1. デンマーク人が日本に対し友好的な国民なので安心して滞在できる。
    デンマーク人は、それが正しいかは別として、「北欧のラテン人」と言われます。つまり北欧人のなかでも一番陽気だという意味でしょう。ですからまず、「デンマーク人」という国民性そのものが、留学しやすさにつながります。
  2. 社会全体がとても親切にできていて気持ちがよい。
    幸福度世界一の国デンマーク、などと聞くと、「ほんとかなぁ」と眉に唾する人がいるかも知れません。幸福度世界一の国かどうかは、断定はできないと思いますが、現状の日本社会よりは、よりよい人生と暮らしに必要な技能や社会サービスを提供するシステムされていることは住んでみれば実感できます。
  3. 威張る人がいない。
    サービスに少しずぼらなところもあるけれど、横柄な態度で接してくる人が少ないです。日本では緊張させる人が人望を集めますが、デンマークでは人をリラックスさせる人が、どちらかといえば喜ばれます。
  4. 年齢制限がない。
    フォルケホイスコーレは18歳以上であればだれでも入学でき、年齢制限がありません。語学力さえクリアできていれば、40歳であろうと50歳であろうと入学ができます。年配者を対象にした「シニアフォルケホイスコーレ」というのもあります。もちろん学費等はかわりがありません。
  5. 周辺環境の良さ。
    フォルケホイスコーレはたいてい郊外にあります。周囲にコンビニなどもありませんし、娯楽施設に隣接しているということがありません。勉強する環境としては抜群です。
  6. カリキュラム、スケジュールがきつくない。
    フォルケホイスコーレは大学のような高等教育ではありません。週28時間以上の授業を受けなければならない、という規定はありますが、カリキュラムがあまりタフではなく、余裕をもった学習ができます。学校にもよりますが、遅くとも午後4時までには授業は終わります。
  7. 宿泊と食事が提供される。
    宿泊と1日3度の食事がきちんと確保されるので、こまごまとした日常生活の雑事にエネルギーをとられることがありません。また一部の学校を除いては、生徒数(平均60〜80名)がさほど多くないのもいいです。
  8. 学費が安い
    フォルケホイスコーレの学費は、授業料+食住で、例外もありますが、だいたい月10万円〜14万円。デザイン系のフォルケホイスコーレは他に材料費などがかかります。 短期コースなら週で7〜8万円。提供されるカリキュラムやサービスを考えると、こんな費用の安い学校は日本には本当にないと思います。
    「ノルウェーのフォルケホイスコーレは授業料は外国人でも無料」大きく掲げる案内がありますが、寮費、食事代、部屋代、研修旅行費、住民税(のようなもの)など含めると年間で費用は150万円を越えます。
  9. 観光ビザの範囲内で参加できる短期コースなど、バリエーションが豊富。
    フォルケホイスコーレは、4カ月、6カ月、10カ月のコースが一般的です。ビザが必要のない範囲内(90日以内)で長く留学したいのなら、3カ月コースがおすすめ。スタート月は様々ですが、10月上旬からなら、12月のクリスマス前まで終了(12週)します。言葉が堪能な人であれば、3カ月でもフォルケホイスコーレの留学生活を有意義に過ごすことができます。
  10. すばらしいエクスカーション
    フォルケホイスコーレに長期留学すると、期の終わりにExcursion(遠足)があります。日本でいえば研修旅行や修学旅行に当たるものです。旅行費は学費に含まれていたり、別途支払いが生じたり学校によってちがいますが、これがとにかくたのしくて魅力的。ギリシャ、スペイン、東欧など。普通で体験できないツアーの内容が用意されます。


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■フォルケホイスコーレの種類と学べること

デンマークのフォルケホイスコーレを例にして説明します。 デンマークにある76校のそれぞれが特徴ある課目を用意していますが、課目を大まかに分けると、人文系、芸術・デザイン系、体育系の3種類程度になります。
そして若い人が多く集まる学校と、比較的年齢に高い人たちを対象にフォルケホイスコーレがあります。
人文系は哲学、文学、心理学、ジャーナリズムの課目を多く用意しています。
芸術・デザイン系は、絵画、陶芸、アート、建築、プロダクトデイザイン、テキスタイルデザイン、グラフィックデザイン、映画、写真などを学ぶことができます。
体育系は、サッカー、体操、水泳、カヌー、ヨット、陸上など、多種多様なスポーツを学ぶことができます。そして一部の学校には、外国人のためにデンマーク語とデンマークの社会・文化について学ぶコースが用意されています。
スウェーデン、デンマークフォルケと同様の内容ですが、バリエーションがさらに豊富です。
デンマークのフォルケホイスコーレと少し趣を異にしていて、高等教育施設への進学を目指す人(スウェーデン人のみ)のためのカリキュラムなども用意されています。
ノルウェーも、学校の種類はあまり変わりませんが、例えば、「犬ぞりコース」というノルウェーらしいコースがありますし、スキーばかりやっている学校もあるようです。ただしそういったコースはノルウェー人のみが対象です。
2012年にはコペンハーゲンの真ん中に食と料理にに特化したフォルケホイスコーレも開校しました。

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■フォルケホイスコーレ留学実現のための3つのポイント

留学するにあたってクリアしておかなければならないポイントを3つ挙げておきます。それは、手続きや語学力をつける十分な準備期間、現地の人とコミュケーションできる十分な語学力、長期間現地で過ごせる十分な予算です。

  1. 十分な準備期間
    フォルケホイスコーレは、申し込んですぐに授業が受けられるという訳にはいきません。英語圏に留学する感覚とは少し違うと考えた方がいいでしょう。
    留学は時間とお金がかかります。その対価はあなたがデンマークと良い出逢いをし実り多い留学生活を送ること。そのために、少なくとも6カ月の準備期間は必要です。

  2. 周囲と交信でき、授業についてゆける語学力(とくに英語)
    語学力はぜひ身につけてください。「言葉などできなくてもなんとかなる」、ことは北欧に関しては当てはまりません。
    たしかに「言葉ができなかったけどなんとかなった」という人もいます。でもそう考えているのは、実は本人だけ。
    受け入れている学校と周りの努力で、留学者本人の学習環境が整えられているのです。
    日本で教育を受けて育った人であれば、すくなくとも6年間は英語の基礎を学んでいる人がほとんどだと思います。
    英語を話す機会がないから、上達しないだけなのです。会話学校へ通うのも一つの方法ですが、ラジオ英会話やテレビ英会話を1年しっかりやっていれば、ある程度思い出せるでしょう。
    <北欧語は必ず習っていきましょう。>
    北欧語は現地へ着いたら本格的に学べばいいと思いますが、たいへん難しい言葉ですので、基礎は日本語で習っておいた方が良いと思います。つまり渡航前に日本で一通りのその国の言葉の構造と文法の身につけていった方が良い、ということです。
    大学では、大阪大学世界言語センター、東海大学などがありますが、短期集中講座などは開講していません。3カ月、6カ月の受講を望むならば、東京なら、北欧留学情報センター、大学書林語学アカデミー、大阪なら,なんばパークスの産経学園などで開講しています。

  3. 十分な留学資金
    フォルケホイスコーレの1カ月の費用の目安は、授業料、宿泊費、三食の食事を含めてだいたい10〜15万円です。
    加えて、特別な教材費やベッドのシーツ代、小旅行のための費用、日常に使うお小遣いなどを、平均すると多くても月1万というところです。フォルケホイスコーレは郊外にありますから、余りお金を使うところがありません。
    9月から10カ月間フォルケホイスコーレに留学するとすると、当面の経費としてざっと次のような実費予算が考えられます。 

    渡航費 200,000円(往復)
    授業料 1,200,000円(12万×10カ月)
    自分の小遣いと教材費 100,000円(1万×10カ月)

    やや多めで、少しおおざっぱすぎる感じがしますが、こんなものです。これに渡航時、帰国時にかかるこまごまとした経費が加算されていきます。
    できれば200万円を用意できれば安心です。
    そのうち50万円は日本の口座にとって置いてください。なぜなら留学から帰った後。活動資金がないとたいへん苦労するからです。

以上の3点が十分満たされていれば、実り多いフォルケホイスコ−レ留学になる可能性は高くなります。

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■フォルケホイスコーレ情報を集める。

北欧に留学を志す人の中に、北欧の情報が少ない、と嘆く人がいます。しかしそんなことはありません。
これだけ情報化社会がすすんでいるのですから、情報はないはずありません。とくにインターネットは重要な情報源です。情報がない、というのは「日本語で読める情報がない」ということでしょう。英語さえ読めれば、十分に情報は得られるはずです。留学希望者が、北欧情報のあるところへとアプローチしてゆかなければなりません。
情報へのアクセス方法が良ければ、そして少しの忍耐力があれば、どんどん集まってくるはずです。

<インターネット>
フォルケホイスコーレの情報収集は、なんといってもインターネットです。それぞれの国でポータルサイトが用意されています。そこには、フォルケホイスコーレの全リストと学校の所在、課目、などが掲載されています。
ポータルサイトからは、各学校のホームページがリンクされていて、それぞれの学校のホームページへ飛ぶことができます。ほとんどの学校が、英語の解説ページをもうけていますからそこで情報を入手してください。

各国のフォルケホイスコーレ事務所のホームページアドレス。 (*リンクしていませんので、コピー&ペーストしてください。)
デンマーク:http://www.folkehojskoler.dk/
スェーデン:http://www.folkhogskola.nu/
ノルウェー:http://www.folkehogskole.no
フィンランド: http://www.folkhogskolor.fi

<『フォルケホイスコーレカタログ』>
フォルケホイスコーレの情報を1冊にまとめたカタログも各国事務局が発行しています。
請求してみましょう。無料で送ってくれますから、メールかレター、ファクスでお願いしてみてください。
ただしメールは、スパムメールになってしまって、現地事務局のスタッフが請求に気付かないことがしばしばあり。まてどくらせど届かないことがしばしばです。確実性が一番高いのはファクスです。請求は、英文で大丈夫です。

<ブログ>
現地のフォルケホイスコーレに留学している人がよくブログを開設して、体験記をかいています。しかしそこに書かれている内容や情報は一般化できない内容にものが多いので、あまり参考になりません。(注意:各国大使館で情報得ようとするのは無理です。大使館は「留学センター」の機能はもっていません。)

<北欧留学セミナー>
不定期で北欧留学セミナ−」(有料:税込み1080円)を開催しています。そこではフォルケホイスコーレの紹介や留学手順、また大学以上の北欧の高等教育機関などをご案内しています。
http://dksenofi.web.fc2.com/cnsp/seminar.html

<学校に下見に行ってみる。>
いろいろ調べてみたけれど、やはり決められない時は、実際に現地へいって学校の下見をしてくることをおすすめします。ネットやカタログで得た情報だけでの学校選びは、実は心許ないのです。カリキュラムに惹かれて選んでも、自分が想像していた内容とはほど遠い、ということはあると思います。日本の高校や大学に入っても思い描いていた学生生活とは違うことがありますね。それと同じです。お金と時間に余裕があれば、訪ねて実際に学校を見て欲しいのです。

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■フォルケホイスコーレ留学までのカウント・ダウン。

*留学までの準備期間は6カ月〜12カ月が目安です。留学に思い立ったが吉日、はあてはまりません。

10.入学する学校を決める。
9.WEBからエントリー。
8.学校から入学OKのレターが到着。指示に従い学費を振り込む。
7.入学許可レターとビザ申請書類をそろえる。
*校長のサインを確認!留学査証
6.ビザ書類の記入。
*記入漏れチェック!
5.大使館で留学ビザの申請、そして取得。
*通常の留学査証は申請する前に、デンマーク移民局のHPでCASE ID(案件番号)を有料(30000円程度)で取得しなければなりません。
ワーキングホリデー査証はCASE IDは必要ありません。ノルウェーのWH査証の取得は手数料がかかります。
4.申請してる間に航空券の購入、必要であれば旅券の取得、更新、任意保険の加入などをしておきます。
*格安航空券は早く買えば早く買うほどいい席が取れる傾向にあります。
3.荷物を送る。(学校に知らせる)。帰国後のことをイメージする。
*重い物を中心に送る。帰国後、することを考えておく。
2.ビザ取得/学校までの行程確認
*ビザは大使館で受け取る。行程はネットで検索してみよう。
1.旅支度&出発
*旅券。航空券、入学許可書、学費払込控えの確認。
0.いってらっしゃい!
*********
1.Welcomeback to Japan.!

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